組織文化は、知らず知らずのうちに組織の中の社員一人ひとりに影響を与え、組織特有の意識や行動パターンを生み出します。そのあり方次第で、良い成果を生み、また逆に働く場合もあります。こうした組織文化は、価値観の浸透や行動の積み重ねで、意識的に作り、変化させることができます。
ふだん暮す水を魚が意識しないように、組織の内側にいては、組織文化の良し悪しを意識することは少ないものです。
旅先でグロテスクな料理を前にした時。転勤先で仕事の進め方や人間関係に戸惑う時…。こうした異文化に触れたカルチャー・ショックを受けない限り、ふだんは自分が属する文化が意識に上りません。
「文化」とは、属する組織の一人ひとりに共通する特有の意識や行動で、誰もが当たり前に受け止め、深く考えずに自然に行う振る舞いとも言えます。
ある専門家は、組織文化の特徴をこう表しました。「組織の中は、一人ひとりの行動に影響を与える気(き)で充ちます。中にいては見えないので、壁に穴をあけて外から覗くしかありません」。
そこで、会社でのふだんの行動や気持ちが、家庭内などでの振る舞いと比べ、どう違うのか振り返ってみます。
会社では、メールや資料作成のため、黙々とパソコンに向き合う時間が長く、電話や雑談などの生の会話が減りがちです。PDCAサイクルが短期で回転するので、常に成果が求められ、途中のプロセスを仲間とワイワイ楽しむ気持ちが薄れます。さらに、自分への評価が気になる一方、自分の夢や社会の出来事などに向き合うことも少なくなりがちです。
この結果、現状ままで良い、周囲に踏み込んでまでして関わろうとはしない、といった意識や行動習慣が、知らないうちに自身や職場に浸透してはいませんか。
かつて高度成長を導いた源である日本の文化は、人工的に作られたものでした。
今と対比するため、目線を過去に移します。高度成長絶頂の半世紀前、日本の市井にくらしたエズラ・ボーゲル教授は、日本人の生活や文化、制度などの調査結果を、著書「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で詳らかにしました。
ボーゲル教授が指摘した日本成功の秘密とは、卓越した計画性、効率的な組織、技術利用の優れた能力、働く者の勤勉性などからなる社会システム、つまり文化でした。
日本を世界第2位の経済大国に押し上げた大きな理由の一つが、優れた組織文化にあったこと訳ですが、さらに驚くべき事実があります。
これらの長所を備えた文化は、想像に反し、伝統的な国民性や美徳からの自然発生ではなく、明治以降、知識輸入や改良を重ねて作られたもので、しかも他国にも移植可能だとボーゲル教授は指摘します。
良い成果を生む、優れた「組織文化」は作り、磨き上げられる。なのに、今日、この歯車が狂い、業績や士気低迷、事故、不祥事などが後を絶たないのは、なぜでしょうか?今日の組織文化の課題とは何でしょうか?
私たちチームボックスでは、経営層やリーダーをはじめ、社員の意識・行動を変革し、自ら目標を掲げ、現状を疑い、自問し、考え、進化し続ける組織文化「ウィニングカルチャー」づくりに取り組んでいます。
私たちの取り組みで得た学びを、これから本欄で皆さんと共有していきたいと思います。