宇佐美氏:経営統合後、存続会社の傘下にあった経営管理部門やグループ会社には、それぞれの人事評価制度や経営理念がありました。2022年には新任のメンバーが加わり、ボードメンバーはこれまでの倍となる14名に。新しい体制になったからこそ、まずはこのメンバーが、部署や担当業務などの役割を越え、対等な一人の人間として向き合う関係になることが重要でした。そうしたプロセスを経て、より強固な一枚岩の組織になっていくことが理想だと考えていました。そんな時、中竹さん(チームボックス代表取締役)のことを知ったんです。彼のこれまでの経験などを聞き、組織変革するためにはチームボックスのサービス以外考えられないと思いました。
瀬田:チームボックスをそのように捉えていただいて、とても光栄です。その後、宇佐美さんの想いやお考えを伺う中で、当時抱えていた課題を解決するには、ボードメンバーの皆さんが全員集まって、自然の中に身を置いて、合宿を行う「Reborn Camp」がマッチすると仮説を立て、提案させていただきました。
宇佐美氏:日々業務に追われているボードメンバーが、お互いを理解し合うために、日常とは離れた自然の中でアクティビティに取り組むというのは非常に面白いアプローチだなと思いました。また、プログラム終了後の、私たちボードメンバーのチーミングにも活かすことができると思いました。
瀬田:このプログラムは、2ヶ月の間に、まずはオンラインによるチェックインセッションから始まり、合宿での集合トレーニング、振り返りやオンラインでの1on1を含む実践期間があり、修了式を迎えるという流れの設計になっています。日常から離れた軽井沢の地に集まることには抵抗があった方もいたのではないかと思いますが、参加されたボードメンバーの皆さまからはどのような反応がありましたか。
宇佐美氏:当初はネガティブな印象を持ったメンバーもいたと思います。ですが、私自身は、合宿に参加してみると何か違う景色が見えてくるという確信がありました。実際、軽井沢での合宿は、メンバー同士の壁を打ち破るきっかけになったと感じています。
瀬田:アクティブラーニングを進めるうちに、ボードメンバーの皆さまが、どんどん自分の内側にある思考や感情を開示するようになっていきましたね。汗をかきながら、チーム一丸となり課題解決に取り組む姿を拝見して、普段は絶対に見えない感情の部分までさらけ出すことができていたと感じました。日常業務に戻られてからも、この体験は活かされていますか。
宇佐美氏:はい。これまでは、ボードメンバー同志、お互いに踏み込むことのできないパーソナルスペースがありました。だからこそ、本当の意味での相互理解ができていなかったのではないかと思います。しかし、アクティブラーニングを通じ、体を動かして課題解決をするという共通のゴールに向かい、知恵を出し合って、対話をする。その繰り返しを、時間を忘れるようにみんなで没頭して行っていくと、それぞれが自らをさらけ出し、関係が近くなっていった実感がありました。役割や部署の違いだけでなく、無意識的に個人個人が引いている境界線を越えることができた時、チームは一つになれる。その体験はプログラム終了後も活かされていると思います。
瀬田:普段、業務で関わっているだけでは、お互いに認識できていない価値観やパーソナリティがあると思いますし、相互理解するところまでは、コミュニケーションが足りず、解消されないまま時間が過ぎていってしまうことがありますよね。今回のキャンプでチームが一つになれた実感を得ていただいたのは、本当によかったです。具体的には、ボードメンバーや組織の変化はどのようなところにありましたか。
宇佐美氏:感情を出すのが得意な人もいれば不得意な人もいます。そんな凸凹があるのが前提ですが、「Reborn Camp」の合宿をきっかけに、間違いなく相互理解が深まったと感じています。日常のミーティング一つをとっても、今までよりも一歩踏み込んだ議論ができるようになりましたし、意見が出しやすくなったことは、確実に変化を感じている部分ですね。
瀬田:合宿の集合セッションの中で弊社代表の中竹が、学んだことをただ理解して終わりではなく、現場でいかに実践するのか、“ラーニングトランスファー”の重要性について、お話をさせていただきました。ライジングフィールドの森さんのファシリテーションや中竹のセッションで学んだことの中で、現在も、引き続き意識して日常の中で実践されていることはありますか。
宇佐美氏:森さんのファシリテーションからは、相手に対してどのような「問い」を投げかけるかが重要であるというお話に、非常に感銘を受けました。中竹さんのセッションからは、すぐに正解を求めるのではなく、抽象的な概念と具体的な概念を行ったり来たりして、繰り返し思考することによって自己探求するということを教えていただいたので、非常に腹落ちしたという印象がありますね。
また、「さらけ出し」と「YET MIND」という考え方が印象に残っていますね。特に「YET MIND」。「YET(まだ)」という言葉をつけるだけで、「のびしろがあり、可能性が広がるんだ」と捉え直しをすることができるようになりました。できていないことがあっても、まだ今はできないだけで、これからできるようになる。そうした捉え方のバリエーションを与えていただいたので、今でも課題に直面した時に、まだまだ自分たちには成長の可能性が広がっているんだとポジティブに捉え直すことができていると思います。
瀬田:自分にとって不都合で、自責に基づいた事象や感情をさらけ出すと、最初は誰でも心地悪さが伴います。ただ、その心地悪さの原因になっているものは「恥の意識」と「勘違い」です。そうしたものを手放すだけで、さらけ出すことも段々と心地よさに変わっていきます。リーダーが課題に直面した際に、そうした弱さをさらけ出し、“Power of YET(まだできていないだけで、これからできる)”と、信じられるようになるだけで、チームの心理的安全性が高まり、リーダーだけでなく、メンバーの行動もポジティブに変わっていくと思います。
宇佐美氏:私自身が、合宿を通して学んだ「YET MIND」を信じる心を持つように意識し始めてから気づいたのですが、私たちCARTA HOLDINGSは、まだまだ伸びしろがあると感じています。今は一人ひとりが持っている能力の7~8割くらいで業務が回っている部分があるので、今以上に力を発揮できる環境になっていくと、CARTA HOLDINGSの可能性をもっと広げられると確信しています。そして、組織としてワンチームになって、同じ方向に向かって成長し続けることを通じて、世の中にもっといい影響を与えられると思っています。
宇佐美氏:会長である私自身、皆に遠慮をして言わないところがあったのですが、合宿をきっかけに、遠慮せずにコミュニケーションを取ることができるようになりました。特に、出身会社の違うボードメンバーに対しても、より踏み込んだ対話ができるようになったと思います。
瀬田:宇佐美さんにとって、それこそが一番取り払いたい壁だったのではないでしょうか。私たちとしても、そのお手伝いができて、とても嬉しいです。「Reborn Camp」での学びを、未来に向けて、どのように活かしていきたいですか。
宇佐美氏:1年経った今でも「Reborn Camp」の時の空気感は覚えていて、時々、ボードメンバーの中でも当時の話が出てきます。この体験を通じて学んだことや感じたことを、ボードメンバーそれぞれが、部署やチームで実践して見せて、他の社員にも、さらには組織全体にも伝播させていきたいです。とはいえ、中竹さんに教えてもらった通り、人は忘れる動物ですので、どうやって日常に根付かせていくのかが重要だと感じているところです。やはり振り返りが大事ですよね。
瀬田:そうですね。振り返りの習慣はぜひ続けてください。最後に、この「Reborn Camp」を導入していただいた初めてのお客様として、これから利用される皆さまにアドバイスやメッセージをお願いできますか。
宇佐美氏:組織は、相互理解があるからこそ、チームとしての力が発揮され、より強固な関係性になることができます。「Reborn Camp」は、そうした可能性を引き出す一つのきっかけとなるプログラムだと思います。
組織が強くなるためには、やはり経営層が問題意識を持って自ら行動し、変化し続ける姿勢を見せていくことが一番大切だと思います。そうした経営層のリーダーシップが組織全体に対しても、非常に大きなインパクトを与え、最終的には、企業として成長し続ける力に変わります。その大切さをわかっていただけるリーダーの皆さんには、ぜひこのプログラムを導入することをお勧めしたいです。
瀬田:今日のインタビューを通して、宇佐美さん自身が、経営者として、組織全体を変えるきっかけを作りたいという強い意志をお持ちだったことを改めて思い出しました。組織が変わるためには、まずはリーダーである自分たちから始めるんだと行動し始めることが、組織変革の第一歩だと思います。今、まさに企業に求められている人的資本経営においても、必要な要素ですね。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。
■日時 :2024年 10月 21日 (月) 10:00~15:00
■場所 :ライジングフィールド軽井沢
■参加費 :無料
■詳細・申込み :https://form.teambox.co.jp/rebroncamp2024_autumn
■Reborn Campサービス詳細:https://corp.teambox.co.jp/service/reborncamp/