トップ導入事例マインドセットを「フォロワー型」へ / 伊藤忠商事株式会社

リーダーとしてのマインドセットを「フォロワー型」へ転換

マインドセットを「フォロワー型」へ / 伊藤忠商事株式会社

業種: 商社  /  規模: 3000人以上

マインドセットを「フォロワー型」へ / 伊藤忠商事株式会社

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太田 晋二 様

業務部
食糧部門 砂糖・コーヒー・乳製品部砂糖・製菓原料課長(受講当時)

伊藤忠商事株式会社様は、幅広いビジネスをグローバルに展開する総合商社です。同社において2018年から19年にかけて2シーズンにわたりTeambox LEAGUEを導入いただいています。実際に参加したリーダーにお話をきくシリーズ第1弾、太田 晋二様にお話を伺いました。(聞き手:株式会社チームボックス コーチ 則俊慶太)

「先輩の背中」という思考を捨て去る

――Teambox LEAGUE(以下、TBL)では、月1回リーダーたちが一堂に会する集合トレーニングを実施します。大舞台で活躍するスポーツ選手が素の姿でワイワイやりあうような本音さらけ出しの場という意味合いで「Locker Room」と銘打っているんですが、一般的な研修と雰囲気が違うと感じましたか?

いわゆる座学じゃない独特なトレーニングだと思いましたが、最初は正直、何を目指す研修なのかよくわからなかったんですよ(笑)。チームボックス代表の中竹(竜二)さんが早稲田大学のラグビー部を率いていらしたということで、洒落たネーミングだと思いますが、正直私は、スポーツマンシップでおっしゃる「Locker Room」という言葉に馴染みがなくて。ただ、2回目、3回目と回を重ねる中で、受講しているリーダーたちが「面白い」と前向きに取り組み始めたのが印象的でした。

——参加していたリーダーの方々は、もともと顔馴染みなんですよね?

そうです。当時私は食糧部門にいて、同じ部門の課長さんたちが集まっていました。普段、それぞれの課長さんに接して僕なりの印象も持っていたわけですが、実際、「Locker Room」で「こんな課題を持っている」「自分はこんな目的意識でマネージしている」といった本音が語られると、普段とはギャップがある人もいるんですね。「この人、本音の部分では深い思いを持って動いていてすごく共感できるな」とか。課長として課題感を持っている人たちが集まって、同じ研修の場で発表しているのを聞くと、とても勉強になると感じましたね。

——私がコーチとして、日々、太田さんとやりとりをする中でとても印象的だったのは、太田さんが「自身の成長」については、あまり口にしたことはない、周りからフィードバックを受けたことが少ない、とおっしゃったことなんです。

「自身の成長に関して、日々どれぐらい考えていますか?」と問われて、確かにそう言いましたね。私は今、40代なんですが、かつては「先輩の背中を見て育て」というような雰囲気がほとんどでしたから。「成長は自分でするもの」という感覚が根強くあったんだと思いますね。

——TBLでは「UNLEARN(先入観を捨て去り、学びほぐす)」をキーワードにしています。今まで学んだことを一旦リセットして学び続ける姿勢ですね。太田さんは「UNLEARN」の姿勢を獲得するために、「先輩の背中」という思考を捨て去るということを自身の課題として設定されましたね。その後、どんな変化が生まれましたか?

振り返りを重視してみようという気持ちが生まれました。ちょうど、TBLのトレーニングと同じ時期に、食糧部門で「生産性改革」という働き方の見直しがあったんです。毎日、仕事管理表に部員が振り返りの文章を書くシートが配られて。その用紙に課長である私が毎日目を通していました。そのフィードバックとして「ただレビューするだけじゃなく、内面も含めて書いてみるといいよ」とメンバーに伝えてみたんです。そのためには私自身が内面をさらけ出して、その内容をメンバーにシェアしないと始まらないなと。

「振り返り」を習慣化したら、チームの雰囲気が向上した

——太田さん自身の「さらけ出し」は、どうやって獲得していきましたか?

日々のコーチとのやりとりですね。「リーダーとして今日は何を意識しましたか?」「部下にどんな声がけをしましたか?」といった「宿題」をいつも与えていただいていたので。

——太田さんからメンバーへの声かけの中身は変わっていきましたか?

変わりました。具体的に考えるようになったんです。毎週金曜日に課会を行なっていたんですが、その場で、メンバー数名の振り返りの内容をみんなと共有して「ぼやっとした『感想』じゃなく、その人なりの考えを示す『姿勢』が明確に書かれているのがいいよね? 」と。

——メンバー全員に振り返りの習慣をつけていく中で、何か発見はありましたか?

はい。振り返りしてねとは言っても、なかなか毎日「姿勢」まで含めて書くことは難しいんです。そういう時に、こちらからテーマを絞り込む「枕詞」をつけると、スムーズに振り返りが書けるようになるんだなという発見がありました。例えば中堅社員なら、単に「今日は頑張りました」じゃなくて、「『次世代を担う将来のリーダーとして』今日どういう姿勢で頑張れたか?」という視点で書いてみるのはどうかなと。

——そうした意識づけは、メンバーに浸透していったと感じましたか?

感じましたね。気持ちを前に持っていくような意識づけをして、それをみんなとシェアする機会を持つことで、最終的には「チームの雰囲気」が向上し、目標を達成していける。そんな実感を持つことができました。

——トレーニングで学んだことを、実際、現場ではどのように生かしましたか?

中竹さんが最初のLocker Roomの時に、クイズのようなものを出されたんですよ。「自分の後輩は成長すると思いますか?」「自分は成長すると思いますか?」「先輩や上司は成長すると思いますか?」という3つの問いだったと思います。僕も課会でメンバーに同じ問いを投げかけてみたんです。そうするとみんな、自分と後輩は成長すると答える。だけれども、上司となるとどうかなと。要は、太田さんは成長するかどうかわからないというわけです。でも、僕が成長すると思われないと、このチームは強くならないと思ったんですね。みんなは自分も成長したいのに上が成長しないとなれば、ベクトルが揃わないわけですから。せっかく僕は、TBLのトレーニングを受ける機会をもらっているのだから、この機会に僕自身が変わろうと。

——太田さん自身がTBLのトレーニングを受けて、一番変わった点は?

強いリーダーから「フォロワーシップ」を発揮するリーダーへの転換です。私とメンバーとで毎日のフィードバックを行う「Flica」というツールには、毎日の行動を意識づけするためのいろんな項目が書かれていて、それぞれに点数をつけていくんですが、そこに「フォロワーシップ」とか「チームビルディング」という言葉が書かれているんです。毎日「今日はチームビルディングできたか?」と振り返って意識していると、「俺の背中を見て育て」という思考ではチームビルディングは厳しそうだなと、だんだん意識の中に刷り込まれていった感じで。だって、毎日自分でその項目に点数をつけていくわけですから(笑)。自分が手本になるのは大前提。その上で、とにかくメンバーと話してコミュニケーションを取っていくことが大事なんだと思うようになりましたね。

——TBLが終わっても、自身で継続していたことはありますか?

課会の発表はトレーニング終了とともにやらなくなったのですが、メンバーに個別のテーマを出して振り返りをすることは、続けていましたね。それもあってか、他部署のメンバーの方から「太田さんのところの課は、すごく雰囲気がいいね」と言われるようにもなりまして。もちろん、もともとメンバーのみんなが明るくて優秀というのもあるでしょうけれど。

 

「待つコミュニケーション」で部下からの発信が豊富に

――リーダーとしての新しいスタイルを獲得していく上で、難しさはありましたか?

ありましたね。強い個を示して、強いリーダーシップを発揮するというあり方は、リーダーが組織をガッと引っ張る上で、功を奏す部分ももちろんありますし。私も従来型のトップダウン型が染みついているところはありました。メールでコーチとやりとりする中で、「部下を説得するとき、太田さんの考えを言うんじゃなくて、太田さんの考えを相手が言うように導いていくとよい」とおっしゃっていただいて。僕が上からガッと言っちゃうと、答えを言っていることになるので。「違うだろう?」と相手を否定した瞬間に、相手は僕の「答え」を忖度し始めてしまう。たとえリーダーとして「答え」を持っていたとしても、オブラートに包みながら上手に導いていくやり方はあるんだなと。そこは、簡単にはいかないところはありました。

——そうした「待つ」コミュニケーションをしていく中で、メンバーに変化は生まれましたか?

はい。僕が「こうしよう」とあらかじめ答えを極力言わないようにしていたので、風通しがよくなったというか。指示待ちの人は明らかに減りましたね。みんな、会議でも言いたいことを言うようになったと思います。部下の立場からすると、「ここのところは、思っても言わないでおこう」という一線ってあるじゃないですか。メンバーが気兼ねなく、その「一線」を超えて物を言えるかどうかは、その部署の雰囲気をよくしていく上で大事ですよね。

——そうした「待つ」コミュニケーションの実践は、大変でしたか?

最初は「こうしなきゃ」という義務感みたいなものもありましたが、途中から楽しみながらやっていましたね。僕自身も考えるけれど、それは答えじゃないから、みんなも考えて。違う答えがあるかもしれないから見つけていこうよと。

 

——メンバー間のコミュニケーションが変わったことで、組織にどんな循環が生まれましたか?

「変わろうとする意識」がシェアされていくようなイメージですね。課会でみんなの振り返りをする中で、僕の発信から「何かこの人、変わろうとしているんだな」と思ってもらうかどうか。それがあるのとないのとでは全然違うだろうと思っていましたから。今の仕事の延長線上だけで物事を考えていると、この先どこかで頭打ちになると。そういう危機感も含めてみんなとシェアする中で、みんな自身もいろいろと考えを持ち始めて、いろんなアイデアが出てきました。

——リーダーとしてのマインドセットが変わったという感覚はありますか?

あります。やっぱり普段仕事をしていると、いろんな仕事が降ってきて、与えられて、それをこなしていけば次はこういうステージに行くのかな、といった既定のレールというのは頭の中に出来てしまうものです。「僕はこのレールを歩いているよ」という思考から一歩踏み出すこと。これはリーダーの私自身にとっても、マインドセットを変えていかなければいけないところだったと思います。TBLで、そのための「踏み出し」をする機会を与えていただいたと思っています。

文章:古川雅子 写真:柏谷 匠

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